04 田舎のプロレスと都会のプロレス

 広場につくと、すでにリングは設営され、椅子も並べられていた。その周りには近所の人たちで満員御礼上体だった。照明も用意され、リングもライトアップされている。  パンフレットには、この日に行われる6試合のカードがスタンプで押されていた。  メインイベントは、6人タッグだ。 「なんだ、6人タッグか・・・つまらねえな」  と父親は、ぶっきらぼうに言った。  メインイベントの試合は場外乱闘がほ…

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03 初めてのプロレス観戦

 その週から、少年はプロレス中継を見なくなった。  次の週も、またその次の週も・・・  二ヶ月もたったころだろうか、父親が少年を無理やりヒザの上に座らせた。少年は抵抗したが、いいから見ろ!と怒鳴られた。それでも顔を背けると、後ろからゲンコツが飛び、最後は両こめかみをコブシでゴリゴリやられながら無理やり見させられた。やがて少年の目に涙がたまり、大泣きした。これにはたまらず、父親も手を離して少年…

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02 お前には無理だ

 少年のプロレス好きは完全に父親の影響だった。少年の父は、プロレスを愛していた。  少年は幼い頃から、父のヒザの上でプロレス中継を見させたれていた。見ていたのではなく、見させられていたと言ったほうが正確だ。そして、二言目にはこう言われていた。 「お前は、大きくなったらプロレスラーになるんだぞ!」  少し体が出来てきたら、父に冗談でプロレス技をかけられたり、特訓と称して近所の公園まで往復で走…

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